むふうかんとオフパコ


11/6

 学校に行って長沢樹さんの『上石神井さよならレボリューション』を読んだ。女の子をいかに盗撮するかという話で、愛のむきだしかな?とおもったけどそんなことはなかった。毎回毎回見取り図がでてきて興奮するけど、それは見取り図の存在そのものが僕のある種の回路にアクセスして起きる興奮で、見取り図さえあれば話の内容なんてどうでもいいのかもしれないと思った。長沢樹さんはもっと青春を描くのがうまい作家だったような気がした。連作短編だけど、手放しにこれはおもしろかったな、と思えるのが最後の「さよならレボリューション」くらいで、長沢さんには女の子が主人公の話をいつか書いてほしいなとおもった。
 
 そして梓崎優さんの『リバーサイドチルドレン』を読んだ。梓崎優ってなんて読むのかいまいちわからなくて毎回コピペしてしまう。しざきなのかきざきなのか……って冷静に考えるとしざきにしか読めませんね。そんなことよりリバーサイドチルドレンよかったですね。カンボジアのこどもたちの生活がエモーショナルでポエティックな文体で語られててとてもよかったです。世界観もいいですよね。過酷な現実を言葉で装飾しながら楽しく生きようとしているストリートチルドレンたちの集団。リーダーが殺されてコミュニティは崩壊してしまう。最高ですね。つらそうな状況でも笑顔を保とうとする感じいいですよね。100ページあたりからずっとえぐえぐしながら読んでました。さっき世界観って書いてそんな特殊な設定か?って思ったりもしたけど、ほとんど雨乞い男と旅人のせいですね。ああいうのいいですね。すきです。というかカンボジアとか遠すぎてよくわからないですもんね。そんな遠い世界をぼくたちの住んでいる日本と地続きの日常として描いているところもよかったですね。いま・ここから地続きのすこし離れたいま・ここを開拓する想像力が必要なんじゃないでしょうか。適当です。でも梓崎さんが書くの得意そうなホワイの部分はそんなにぐっときませんでしたね。というかその動機にしても、そ、そうか……って感じが先立ってわりと……でしたね。そのあとですよね。フーとホワイが明かされたあとの主人公には震えましたね。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったので隣にいた人のシャツを借りたほどですよ。梓崎さん小説うまいのでもっと書いてほしいですね。よかったなあ。空がぼくらの代わりに泣いてくれてるんだよなあ。祈りなんだよなあ。


11/7

 何をやっていたんだろう。何もやっていなかったのかもしれない。何もやってないにひとしいことをやっていたんだろう。

11/8

 ウッと目覚めて学校へ行った。部室でペルディード・ストリート・ステーションをちょびっと読んだ。◯さんとくしかつに会った。黒死館殺人事件の光る死体と、今回の近麻のアカギと光る鷲巣が重なったことで笑いあった。

11/9

 朝に目覚めてミス研の例会に行った。黒死館殺人事件の読書会だった。読んだ人にMさんお手製の200点満点の試験問題がくばられた。やばそう、と思いながら他の人が解くのを眺めていた。最終問題の「黒死館に影響を受けた作品をあげてどんなところにそれがみられるのか100字以内で」みたいなのは解けそう、と思った。配点は10点だった。
 そのあとごはんを食べたあとで、ぼくと同じ店に行かなかったミス研の人たちが飲み屋に行っていることが判明したので、◯さんと二人で突撃した。その飲み屋では他に一組の集団がいて、その集団はぼくが日頃からTwitterで絡んでいる学生劇団の人たちだったので否応なくオフパコがはじまった。女の子と絡むぼくははたからみればキャバクラのようだったが、じっさいはぼくは終始にこにこと笑うだけで、酔った他の人たちが勝手なことを言い勝手に笑って楽しそうにしているのを眺めるだけだった。そんな人たちに囲まれてぼくはそれよりに嬉しかったし、楽しかったからよかったと思う。とか書いてみたが初対面の人のタバコを盗んだり初対面の男の乳首を揉んだり、初対面の女の子のケータイからぬいぐるみのストラップをむしりとって遊んだり、Twitterで勝手につぶやいたり、彼氏のLINEに投稿したりしたのであまり傍観者は気取れないような気がする。やべえ。しかし劇団のほうのノリは飲み会!って感じだったので、久しぶりにそういう円滑でテンションの高いコミュニケーションをみたというか、新鮮な気持ちになれた。
 一方ミス研のほうでは女の子三人ほどにずっと「立岡さんかわいい」と言われ続けていた。僕は「せやろ」とか「わかる」とか「Bちゃん体重何キロ?」とか言っていた。これは完全にキャバクラだったことを否定できない。
 そんなふうに今週もまた土曜日が終わる。