熱いコーヒーを啜りながら感慨深さでため息をつきました。(麻耶雄嵩/『メルカトルかく語りき』)

メルカトルかく語りき (講談社ノベルス)

メルカトルかく語りき (講談社ノベルス)

 麻耶雄嵩ターカ・タカ・タン♪がミステリ小説のなんかえらい賞を受賞したとかしなかったとかでおめでとうございます。読書メーターを見ても、現時点で774人の人が「隻眼の少女」を読んでいたりと、まやたん好きとしては少々驚いております。2ちゃんねるのまやたんスレでも「まやたんはビッグマイナーになったんだなあ」みたいなことが書かれていたので、僕は熱いコーヒーを啜りながら感慨深さでため息をつきました。
 「メルカトルかく語りき」は銘探偵メルカトル鮎さんが解決した事件を5つくらい収録した短篇集です。メルカトルさんはシリーズものになっているので、「語りき」からメルカトルものに入った人は、ぜひともまやたんのデビュー作の「翼ある闇」を読むことをおすすめします。現在の「つばやみ」の読書メーターのユーザー数は112人です。増えれ!

 というか最近まやたんが働きすぎていて、過労で倒れないか心配です、ということを書こうとしたら、あびこさんが
『あびこ:そういや、今出てる「メフィスト」で来月出る麻耶雄高の 『メルカトルかく語りき』(講談社ノベルス)の読書会をやったんだけど、ある方の「麻耶さんの本がこんなに立て続けに出て天災でもあるんじゃないかって言われてるんですよー」という発言は、ゲラで削られたので載っていません。 』
 って言っているのを発見したので、まあ、そうだなあ…( ・´ー・`)という気持ちになりました。

 まやたんといえば、短編は玄人筋も納得できるようなしっかりした本格ミステリを書いて、長編でやらかす( ・´ー・`)作家というのが僕のイメージでしたが、今作はみごとにそのイメージを裏切ってくれるものでしたね( ・´ー・`)
 まあメルカトルですもんね( ・´ー・`)
 木更津悠也さんも構造的にはだいぶひねくれていますが、そのひねくれはキャラクターの相関関係にあって、ミステリの構造にまでは及んでいなかった。貴族探偵もそうです。前回のメルカトルさんの短篇集もそうでした。だけど、今回のメルカトルさんは『真相・解決』という部分にメスを入れてくれてます。やっぱこういうのがまやたんなんだよ!と言うと、なんか僕、この歳にしてまやたん守旧派な感じで( ・´ー・`)な感じがでてきますが、僕はこういうまやたんが好きだからしかたありません( ・´ー・`)。
 
 これは朱玉の短篇集といってさしつかえないでしょう。そして「まやゆたかてきなもの」の格好の入門書になっていると思います。まやゆたかたんを初めて読む人に気軽にすすめられる本がでたということで、これはひとつの達成です。もう僕はまやたんを知らない友達にこの本をすすめるときに、いちばん読後感がすっきりしている(このあたりの言葉選びは慎重にしなければいけません)「九州旅行」から読むように言うべきか、それとも「九州旅行」から読んだのではメルカトルと美袋さんの関係に素直に萌えられないだろうからやっぱり本の最初から読むように言うべきか、頭を悩ませています。

 ふへへへwwww
 ふへへへへへへへへwwwwwww 

 「かく語りき」→「翼ある闇」→「夏冬」というルートが開かれたことが僕には嬉しくてたまりません。開かれてるのか……? 開かれてるよな……。うん。大丈夫だ。

 ミステリをあんまし知らない人にも普通にすすめられるまやたん本だと思います。ミステリに少しでも触れた人なら、まやたんが破壊しようとしているのがなんなのかがわかるはずだからです。そして船越英一郎片平なぎさ仲間由紀恵、水谷豊といった役者の並びに何も感じない日本人がいないように(いないと願っています)、ミステリにまったく触れたことがない日本人はいません。もちろん、新本格ミステリをひと通り読んで、「あー俺叙述トリック飽きたわー。いちばんはじめに飽きたわー」と言っている人にもおすすめです。むしろそんな人にこそまやたんを処方するべきです(そういう人はまやたんを知っているような気がしますが……)。つまり、この本は万人にすすめられるまやたんなのです。まあ万人にすすめられるからといって、万人に合うまやたんではないのですが……( ・´ー・`)
 
 メフィストに小説が掲載され、講談社ノベルズからまやたんの本が出る。これだけのことが、こんなに嬉しく感じられた日はありません。感動しました。まやたんの文章も比較的ライトに読みやすくなってたし、感動しました。

 そんな感じです( ・´ー・`)


 それより、メフィストはあの薄さなら1000円にしたほうがいいと思います……。1000円なら買うから……。ここさいきん、僕は講談社のミステリ系がすげえリゾームってる(浅田彰的に)イメージがあるので、なんかぴちーんとした雑誌がでて統合されてほしいものです。比較的権威を持ってるメフィストにそれをやってほしいんですけどね……。円居挽新作長編360枚一挙掲載!とか。ほどよく大御所もいて。殊能将之さんがいて。新人発掘がんばって。毎月だして。うまくいかないものなのかなあ。最近メフィストは読み切りメインにシフトしてってるけど……。どうなんだろう……。むつかしいですね(´・ω・`)
 ノベルズとか、BOXとかファウストとかパンドラとか星海社(最前線)とか、しょうじきわけがわからないよ……。あれ? なんかこうしてみると太田さんがすべての元凶のように思えてくるから不思議ですね……。いやいや、たぶんそんなはずないでしょう……。なにかが良い方向に向かうときは、特定の個人の能力によるところが大きいけど、悪い方向に向かうときは、誰かのせいにはならないと思います……。たぶんものごとには「良くなる」と「良くならなかった」があるだけだと思うのです……( ・´ー・`)

 がんばってほしいものです( ・´ー・`)

 そんな感じです( ・´ー・`)

 最後に、ひとつの記事でこれだけ、どや顔( ・´ー・`)をキメることができて、僕はたいへん満足です( ・´ー・`)