ハンド・イート・マン

　ジャルジャルのハンドイートマンが好きだった。お互いの手をひたすら食べようとするコントだ。相手が目を離した隙に口を開けて手を食べようとする二人の姿に思わず心が和んだものだ。ぼくも弟と真似しました。コントではほんとに食べはしなかったけど、ぼくらは実際に食べました。もぐもぐ。だから私は隻腕、弟は全身機械鎧の身体になってしまったのですよ。悲しいと思いませんか。
　なんの脈絡もないこともないと信じたいが水見稜さんの『マインド・イーター』の話だ。
　

マインド・イーター[完全版] (創元SF文庫) (創元ＳＦ文庫)

　さいきんツイッターをやってると飛さんが『マインド・イーター』の感想ツイートをリツイートしまくっていて、ほとんどＢＯＴになっているので困って、困ったなら買うしかねえな！と思って買いました。おもしろかったです。「マインド・イーターとは、人間を完全に異質なものに変えてしまう害意をもった鉱物的存在であり、音楽であり、言語である。応戦の術はない」いい帯だなあ。やっぱり、精神汚染はロマンだと思いますね。だんだん意識が変質してって感情がなくなっていって楽しかったこととか悲しいことを忘れてしまう、ってすてきじゃないですか。もちろんレイプ目でね！　そんなわけでわたしは蒼穹のファフナーの大ファンです。

　ファフナーといえば冲方さん、ブログで２０１２年内にテスタメントシュピーゲルを完結させるというマニフェストを出したそうですね。シュピーゲルシリーズも変身するたび意識変わるね！的な設定があったような気がするので、楽しみです。やっぱりロボットを操縦する能力や変身能力の代償がＳＡＮ値なのはロマンですよ。他にあんまり知りませんけどね。
　あんまり知らないのですが、２０１１年に放送されていた仮面ライダーオーズの最強フォームであるプトティラもそんな感じでしたね。そうだったかなあ……。まあいっか。

仮面ライダーOOO(オーズ) OCC 08 仮面ライダーオーズ プトティラ コンボ

　とにかく、そんなわけで僕は鬱展開が大好きなのですが、さいきんすてきな欝い話に出会えなくて欝だったんですよ。欝い話を楽しむのはいいんですが、自分が欝になるのはまっぴらごめんです。欝って概念がゲシュタルト崩壊してきて悲しかったですよ。自分が自分じゃなくなっていくようでした。
　マインド・イーターはとても綺麗な話ですね。マインドイートされた人らは身体がぼこぼこになったり液体になったりするのに、グログロしさを強調することなく一貫して静謐な空気を保っていました。ぼくはグログロしい話も好きなのですが、グロくなくても欝い話はあるんですね。びっくりしました。まあこうは書きましたが、マインド・イーターはそんなに欝い話じゃないんですけどね(　･´ｰ･｀)だいたい後味さわやかです。そんなわけで「サック・フル・オブ・ドリームス」と「おまえのしるし」と「憎悪の谷」がとびぬけて好きです。そのつぎに「迷宮」が好きです。ほかも好きです。すてきな連作短編（？）でした。