ベンジャミン・バトン

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)

 フィッツジェラルドの「ベンジャミン・バトン〜数奇な人生〜」を読んだ。ベンジャミン・バトンを読みながら、「ベンジョミン・ボットン!ベンジョミン・ボットン!」と頭の中でおたけびをあげていた。ベンジャミン・バトンはおもしろかった。ベンジャミン・バトンじゃないバトンはあんまりおもしろくなかった。「異邦人」と「家具工房の外で」は好き。ほかはまったく覚えていない。



「イギリス人ならなんの問題もないのでしょうね」誰かが言う。「彼らは死の舞踏を踊っているようなもので――反乱軍の兵士が城のまえまで攻めてきているのに、落城間近の城内でうかれているような連中ですからな。必死に――ダンスを踊っているときの表情を目にすれば、それがよくわかります。イギリス人はそれを知った上で、自発的に破滅に向かうのです。先のことなどおかまいなし。でも、あなたたちのようなアメリカ人にとって、うかれ騒ぎは時間の浪費にしか過ぎない。緑色の帽子だろうが、ぺしゃんこの帽子だろうがかまいませんが、それをかぶりたいと思ったときは、わざわざ酔っ払わないとならない」
         (『異邦人』)


 なるほどなあ、と思った。



「ほら、パパ! もっとたくさんの兵士がやってきたわよ!」

         (家具工房の外で)



 幼女かわいい、と思った。