アイダホバーガーの話。

 マクドナルドの企画、その名もビッグアメリカ第二弾、『アイダホバーガー』を食べた。前作のテキサス2バーガーが「ん?」「んんんん?」「ん……」「あ」「あああああ」「ぎゃああああああああっ!」って感じだったのではらはらしながら食べた。するとびっくり、一口かぶりついた瞬間に溢れ出す肉汁!さくさくのハッシュドポテト!おしみなくつめこまれたベーコンが次々に絨毯爆撃のように襲いかかる!それにマスタードとソースが交互に顔を見せるせいで、どの一口も味が変わり、もうどうにも止まらない!おもしろい小説を読んでいるとき、次々にページをめくりたくなる衝動に駆られても、順番に読んでいくしかなくて、もどかしい思いをしたことは誰しもあるでしょう。このハンバーガーは、その一気に楽しみを味わいたい願望を文字通り叶えてくれる!僕は犬のようにハンバーガーにむしゃぶりつき、一気にたべきってしまいました。ファストフードという「早くごはんをたべさせる場」で、早く食べるに値するものを売り出せたことは、マクドナルドだけでなく、すべてのファストフード界に衝撃をもたらしたのではないかと思います。アイダホバーガーの登場により、もはやファストフードのカウンターとしてのスローフードという概念が立ちいかなくなってしまった。あたらしい食のありかたに、ようやく説得力が生まれたわけです。おいしいものを早く食べる意味。アイダホバーガーを食べた人は、身を持ってそれを体験できるでしょう。どんなに頑固な爺さんでも、確実に認識を改めなければいけなくなった。ここでようやく、ファストフード界の10年代がはじまったといえそうです。エクリチュールを売るだけに留まっていたファストフードは大きく進歩したといえるでしょう。そしてこの議論はすべての論壇に敷衍できると思いますが、なんか書いてることがよくわからなくなってきたのでこのへんで終わりたいと思います。つまりアイダホバーガーおいしいってことです。